アプリアイコンに関する商標登録の傾向

業務内でスマホアプリに関する知財権の取得を検討することとなったのだが、商標権の取得にあたって、他企業はどんなアプリアイコンについて商標権を取得しているのだろうか気になり、軽く調べてみた。 ブランドイメージの戦略上、何かアイコンのデザインや権利取得の方向性のようなものが見えると参考になるかと思ったからである。 とはいえそんなに気合を入れた調査はしていないのだが、とりあえず代表的な企業としてGoogleとAppleの2社について簡単に日本国内で取得しているアプリ関連の商標権の調査をしてみた。 すると、両者でかなり異なる傾向が見えてきた。 Googleの登録商標 まずはGoogleの代表的な登録商標を掲載する。 ぱっと見てもわかるように、Googleは色の統一性にかなり重点を置いている様子が伺える。 アプリ関連 ※左から登録5930787、5953068、6209108、6351556、6418757、6522923、6787549 基本的にシンプルな形状としつつも、アイコンの色を「赤」「黄」「緑」「青」の色のみで構成し、かつ4色全てを使うようデザインしていることがよく分かる。 色が与える印象は強く、アイコンの形状は違えど、色を見れば「あ、これはGoogleのアプリなんだな」と分かるようになっている。 選択した色にも意味があるようで、赤、青、黄色の三原色は、ルールや常識を表しており、そこに緑が加わることで「常識にとらわれない」という意味が込められているそうである。 色の三原色であれば「シアン」「マゼンタ」「イエロー」のような気もするが、ここで紹介されている三原色は、また別の意味を定義しているのだろう、多分。 ちなみに2025年5月頃に「G」のロゴのデザイン変更があったようで、色間の境目がくっきり分かれたものから、グラデーションに変わるとのこと。 そのため、厳密にはグラデーション部分で4色以外の色も出てくることとなるが。視認性に大きな変化は無さそうである。 このように、Googleからは自社サービス全体に統一したブランドイメージを普及させる意図が感じられる。 Youtube関連 ※左から登録4999383、5727477、5889012、5960866、6057596 Googleは2006年10月9日にYoutubeを買収しており、それ以降は再生ボタンのアイコンをはじめ、いくつかのボタンのデザインに関して商標登録を行っている。 いずれも赤色で統一されており、やはり色で「これはYoutube」と見分けられるようにしている意図が感じられる。 再生ボタンのデザイン自体はありふれているようにも見えるが、ちゃんとYoutubeと認識できるので、ブランドイメージが浸透していると思わせられる。 Appleの登録商標(アプリ関連) ※左から登録2173459、2210825、5865311、5924575、6072269、6072304、6080354 次にAppleを紹介する。 Appleはリンゴのマークの著名度が際立っており、当然このアイコンも商標登録されている。 Appleという社名はジョブズによって決められたが、そこからリンゴのマークの商標となるのは自然かと思う。 リンゴにはかじり跡があるが、デザインした「ロブ・ジャノフ」氏によれば、他の丸い果物と誤解されないために設けたとのこと。 アダムとイブの禁じられたリンゴにちなんで人類の進歩を表しているとか、「bite(かじる)」とコンピュータにおける情報量の単位「byte(バイト)」をかけている、という説もあったらしいが、蓋を開けてみるとシンプルな理由である。 一方、その他のアプリを表すアイコンはというと、特に統一したデザインを採用している感じではない。 どちらかと言うと、アイコン単体でどんな機能を提供するアプリなのかを把握させることを意識したデザインとなっている。 Mac、iPad、iPhoneといったデバイスにはリンゴのマークが付されているのとは対照的である。 アイコンのデザイン考察 というわけで、以下の表の通り、両社とも異なったアイコンのデザイン戦略を取っているように見受けられる。 企業名 戦略 Google 色を統一することで、自社から提供されたアプリである点を認識させる Apple 直接的なデザインにより、アプリの機能を直感的に理解してもらう 特に面白いと思ったのは、Googleは色という要素に特徴を見出し、それを共通化することで様々なアプリのアイコンに統一感を持たせている点である。 通常は、Appleのように形状も特徴に含めたロゴを使い、車、靴、家電製品といった様々な製品に同一のロゴを付すことでブランドイメージを形成していくことが多いと思う。 これら有形の製品に付すのであればそれで問題ないが、アプリアイコンとなると話は異なる。 製品自体が無形であるが故に、アイコン自身が他のアイコンと異なるデザインである必要が生じる。 ここで、なまじリンゴのような具体的な形状のあるロゴを使おうとすると、異なるアプリアイコンを作成するのが困難となるため、統一感には目を瞑りつつ、異なるデザインのアイコンを設ける必要が生じる。 一方、Googleのように色でブランドイメージを構築すれば、後は形状を変化させることで、アイコン間の差別化はしつつも統一感を持たせることもできる。 とはいえ、Appleのリンゴのロゴはそれ自体が「革新的で、洗練された」強いイメージを形成しているため、主要な製品やサービスに付すことで、ここぞというときに強力な訴求力を発揮できるという強みもある。 どちらが優れているとは一概には言えないとは思うが、こういったアプリアイコン1つとっても コーポレート部門がブランドイメージ戦略を持っておくこと コーポレート部門が開発部門と連携すること の重要性を感じたところである。 アプリのアイコンといえど、会社のブランドイメージに関わる以上は、開発に丸投げしたが故に好き勝手な野良アイコンが生まれるという事態は避けたい。

スマホアプリの知財権

最近、企業内でスマホアプリを開発する企画が立ち上がったので、他社の特許権をはじめとするクリアランス調査を進めていたところ、偉い方々から「知財観点でもしっかり権利を押さえておくように」とのお達しがあった。 特許権は誰しも想像できるところだと思うが、今回はスマホアプリという性質上、アプリのアイコン表示に関しても何らかのケアが必要になりそうな気配である。 となると、意匠、商標権についても権利取得を行う可能性はゼロではない。 しかし、そこは出願の目的と企業のお財布事情との兼ね合いで判断することになるであろうから、意見を求められた時に備えて自分なりに出願の判断基準は持っておきたい。 というわけで、ざっくり知財に関する考えを整理してみた。 [ソフトウェアに関する知財保護](#ソフトウェアに関する知財保護) * [ソフトウェア機能の保護](#ソフトウェア機能の保護) * [アプリ名の保護](#アプリ名の保護) </li> <li>[アプリアイコンの保護](#アプリアイコンの保護) * [商標権](#商標権) * [意匠権](#意匠権) </li> <li>[実務におけるアプリアイコンの取り扱い](#実務におけるアプリアイコンの取り扱い) * [他社による模倣リスク](#他社による模倣リスク) * [他社の権利化による侵害リスク](#他社の権利化による侵害リスク) </li> ソフトウェアに関する知財保護 まずアプリに限らず、ソフトウェア全般で検討すべき保護内容についておさらいする。 ソフトウェア機能の保護 まずソフトウェアの機能や動作に関する部分を押さえるべく、特許権の取得を考えるのが王道だと思う。 また、機能を実現するためのソースコードに関しては、著作権の保護対象となる。 こちらは基本的に登録手続きは不要だが、証拠保全のための手続きも存在する。 そして開発においてOSSの活用は欠かせないところ、意図せずソースコードの開示義務や特許権の許諾義務が発生しないよう、OSSライセンスについても注意する企業は多いだろう。 事後的に「AGPLでライセンスされたOSSを使ってましたわ」と開発者から報告され、頭を抱えた知財部員も少なくないのではないだろうか? また、場合によってはアプリの画面デザインを意匠権で保護することもあるかもしれない。 アプリ名の保護 もしブランドイメージ等の観点からソフトウェア名を保護することが求められるのであれば、商標権の取得も検討対象となる。 具体的な登録要件や、指定商品・役務については、以下の「アプリアイコンの保護」のパートで説明したい。 アプリアイコンの保護 スマホアプリ特有の検討項目としては、アプリアイコンの取り扱いが挙げられる。 もしアイコンを保護するのなら、特許権等とは別に商標権、意匠権を取得する道が考えられるが、どこまで権利化にこだわるべきだろうか? 商標権 アイコンを商標登録するにあたっては、以下の要件を満たす必要がある。 権利化を目指すのなら、アイコンが簡単かつありふれた図形だけであったり、国旗、他人の周知商標と似ているものでないかを確認しておく必要がある。 自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの 公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの 他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの また、指定商品・役務としては、以下の区分を指定するのが一般的かと思う。 区分 商品・役務名 第9類 電子計算機用プログラム 第42類 電子計算機用プログラムの提供 電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守 第XX類 その他、自社商品・サービスに対応したもの ここで、第9類はアプリなどのダウンロードして利用するソフトウェア、第42類はダウンロードせずにインターネットを介して使うソフトウェア(SaaS)の提供に対応する。 意匠権 意匠権の場合もいくつか登録要件があるが、アプリアイコンで検討すべきは以下の点が挙げられる。 新規性があること 創作の非容易性があること 不登録事由に該当しないこと 商標とは異なり、出願から20年経過後に権利満了となるものの、商品やサービスの種類に限定されず権利保護できるところがメリットとなる。 実務におけるアプリアイコンの取り扱い 上述の通り、デザインによってはアイコンの商標権や意匠権を取得することも可能ではある。 しかし、特許事務所への手数料も含めると登録までにそれなりの費用がかかる上、維持費用も発生する。 企業の予算も限られる中、ブランドイメージを維持するためにどこまで費用を負担すべきだろうか? 完全に個人的な見解ではあるが、よほど重要なアプリでない限りは意匠権の取得は不要で、また商標についても、アプリの重要度や提供先に応じて判断すればよく、アプリ毎に逐一取得するには及ばないのではないかと思う。 理由は以下の通りである。 他社による模倣リスク 他社の模倣によるブランドイメージ低下を防ぐのなら、商標登録をしておけば概ねカバーできるかと思う。 意匠権を取れば万全だが、他社の権利をざっくり調べた限り、アプリに関して両方とも取得しているケースはあまり聞いたことがない。 ※Google mapのアイコンに関しては、両方取得しているようである。アイコンの形状などから汎用性が高く、商標権で押さえきれない様々な商品・サービスに使われる可能性を考慮しているのかもしれない。 ...

プレゼン表示するだけの資料にも機密表示は必要?

取引先に配布する資料については、「Confidential」とか、「関係者外秘」とか、各社のセキュリティポリシーに沿ってラベルをヘッダー等に表示しているかと思う。 ここで、「対外イベントで発表する際に数分だけ表示するだけだし、特にどこかに掲載されたり配布する資料でないなら、別に表示しなくてもいいのでは?(見た目も悪くなるし…)」と思う方もいるかもしれない。 しかし、資料の内容に機密性の高い情報が含まれるのであれば、一時的に表示するだけの資料であっても「Confidential」等の表示を付けておくべきである。 理由は、以下の通りとなる。 秘密情報としての法的保護が不十分になる たとえ一時的な開示であっても、第三者からしたらその内容をしっかり覚えていることも多いはず。 プレゼン資料に「Confidential」等の表示がないと、後出しで秘密情報だと主張するのは厳しいだろう。 「えっ、あのプロジェクトの内容って外で話したらまずかったの?そんな表示なかったから、公開情報だと思いましたわ〜」 と言われてしまうのが関の山である。 また、その情報が特許出願前の技術情報であった場合は「新規性の喪失」となり、特許庁での審査に不利となる可能性も否定できない。 一応、他社と締結する秘密保持契約書には、口頭で開示した内容を◯◯日以内に「この情報、秘密だからヨロ」と文書通知すれば秘密情報として扱わせる旨の規定を設けることはあるが、それだけでは心許ない。 撮影行為により第三者に流出する可能性も 発表中にスライドを数分間表示しただけでも、聴講者がスマホでこっそり写真撮影をする可能性もある。 特に今ではオンラインでの会議が多いため、自宅での撮影や画面のキャプチャをする参加者がいないとも限らない。 このとき「Confidential」表示がなければ、「公開してはいけないものだった」と気づかれないまま、意図せず流出してしまうかもしれない。 表示方法 「Confidential」等を資料に表示する箇所はいくつか考えられる。 例えば、最初のスライドや最後のスライドにだけ表示することもあるかもしれない。 しかし、この部分的な表示はお勧めしない。 スライド単体で切り出された場合(スクショやPDFで一部だけ共有された場合)、機密扱いであることが明示されないし、プレゼンの途中から参加されたり、離脱されることで表示を読まれないことがあるからである。 よって、一貫した注意喚起を図るという意味でも、全スライドに表示するのがベストである。 表示により資料のデザインへの影響はするかもしれないが、右下に目立ち過ぎないよう「Confidential」等と表示すれば、それほど大きな問題ではないだろう(ある程度視認できるようにする必要はある)。 それよりも、情報漏洩リスクの軽減の方が重要となる。

米国で生成AI学習に著作物を使うと問題?

生成AIにおいて著作権が議論となる場面としては、 他人の著作物を用いた生成AIの学習 生成AIによる、他人の著作物と似た作品の生成 が挙げられる。 後者に関しては、生成AIに限らず、生成した作品が著作物の類似性等に応じて侵害の有無が判断されるかと思う。 では、前者に関してはどうだろうか? 日本においては、学習対象となっている特定の著作物を享受する目的が無ければ、著作権法第30条の4が適用され著作権侵害とは認定されない。 なおAI学習そのものの日本での取り扱いについては、以下の記事で触れている。 AIで声をパクられたら訴えることは可能? - 実務者のための知財法務Playbook しかし、米国ではこの点が最近の議論になっている。 日本と同様、米国でも著作権利用における例外という考え方はあり、「フェアユース」と呼ばれている。 [フェアユースとは?](#フェアユースとは) * [フェアユースの法的根拠](#フェアユースの法的根拠) * [フェアユースの判断基準(4要素)](#フェアユースの判断基準4要素) </li> <li>[フェアユースに関する判例](#フェアユースに関する判例) * [フェアユースを認めなかった判例](#フェアユースを認めなかった判例) * [フェアユースを認めた判例](#フェアユースを認めた判例) </li> * [生成AI学習への著作物の使用に関する考察](#生成AI学習への著作物の使用に関する考察) フェアユースとは? 米国における「フェアユース(Fair Use)」とは、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる場合があるという例外的な制度で、表現の自由や文化の発展、教育・研究の促進を目的としている。 フェアユースの法的根拠 米国の著作権法(17 U.S. Code § 107)にて、以下のように規定されている。 Notwithstanding the provisions of sections 106 and 106A, the fair use of a copyrighted work, including such use by reproduction in copies or phonorecords or by any other means specified by that section, for purposes such as criticism, comment, news reporting, teaching (including multiple copies for classroom use), scholarship, or research, is not an infringement of copyright. つまり、評論とか、報道とか、教育といった一定の目的で使用するのであれば、フェアユースに当たるので著作権侵害にならないと定めている。 ...

登録商標の名前を自社広告の資料に使うと権利侵害?

社内での資料作成に関して、各部署から 「他社企業のロゴを自社資料に掲載していいか?(*)」という問い合わせだけでなく 「自社製品の広告資料に、性能比較として他社の登録商標を使用すると問題か?」 と社内から問い合わせを受けることがある。 *企業ロゴ掲載については、以下の記事を参照してもらいたい 他社の企業ロゴをプレゼン資料に入れて良いか - 実務者のための知財法務Playbook またブログを執筆している人の中には、「ある製品の批評記事を書くとき、その製品名が商標登録されていた場合は名前を記事に載せて大丈夫?」と気にされたこともあるかと思う。 確かに、名だたる企業がお金をかけて特許庁に商標登録していると、身構えてしまうかもしれない。 結論としては、基本的にそのような商標の使い方であれば侵害行為には当たらない。 商標は「出所表示」が問題となるので、機能・適合性・説明目的の使用であれば原則商標権侵害とはならない。 ただし手放しでOKというわけではなく、消費者が出所を誤認しないように配慮することが求められる。 [商標権侵害とならない使い方](#商標権侵害とならない使い方) * [機能・用途等の表示](#機能用途等の表示) * [比較広告](#比較広告) * [ニュース報道・評論・学術的引用](#ニュース報道評論学術的引用) * [転売行為など](#転売行為など) </li> * [よくある商標の誤表示](#よくある商標の誤表示) 商標権侵害とならない使い方 以下の通り、商標権侵害とならない使い方を挙げてみたい。 機能・用途等の表示 商標権は強力な独占排他的権利であるが、公益的側面の下で一定の制限を受けることになっている。 そして、過誤登録に対する第三者の救済規定として、商標法第26条「商標権の効力が及ばない範囲」が規定されている。 いくつか規定はあるが、その1つである商標法第26条第1項柱書および第2号は、以下のような内容となっている。 第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。 二 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標 なお指定役務に関しては、同様の条文が第3号に設けられている。 具体的には、例えば以下のような使い方であれば、商標権の効力は及ばない。 製品の機能・用途説明(例:「iPhone対応」「Android搭載」) 互換性・適合性の表示(例:「◯◯用カバー」「△△対応バッテリー」) 原材料・素材としての表示(例:「◯◯入り」) ただし、消費者が誤認しないよう明確な表示(純正ではない旨など)が必要となる。 比較広告 商標法が保護するのは「自他商品等識別機能」に基づく使用である。 すなわち、商標が、自社の製品やサービスを、他社のものと区別して認識させる機能のことである。 例えば、消費者がある製品に付けられた商標を見ることで「これは◯◯社の製品なんだな」と認識し、他のメーカーの製品と区別することができる。 比較対象である商品を示す場合(例:「当社製品は、◯◯よりも10倍の成分を含みます」)は、そのような機能を発揮しているといえるだろうか? この場合は、宣伝内容を説明するための記述的表示であって、自他商品の識別機能を果たす態様で使用されたものではないと判断される(判例*も存在する)。 したがって、商標権の侵害とはならない。 ただし、公正な範囲での比較としないと、商標法とは別の法律で問題となりうる点は注意が必要である。 *黒烏龍茶類似品事件(東京地裁平成20年12月26日判決) ニュース報道・評論・学術的引用 例えば、ニュース番組中で「Appleの新製品が発表されました」と紹介する場合だが、これも基本的に問題ない。 あるメーカーの製品をそのメーカーの製品として紹介しただけなのだから、視聴者からすれば他のメーカーの製品と混同するおそれが考えられないからである。 番組中で登録商標を読み上げたり、テロップとして紹介する行為は、商品やサービスに名称を付けて使用するわけではなく、商標として使用されたものとは認められない。 評論中で使用する場合や、学術的引用の場合も同様である。 ただし、自社の商品やサービスに名称を付けて使用する場合(例:番組名に用いるケース)は上記ケースには当てはまらないので、当然商標権侵害とならないように気を付ける必要がある。 転売行為など 一度適法に販売された正規品について、その後の転売や修理、リサイクルで商標を使用する行為(例:「中古◯◯」「◯◯正規品」と表記)は商標権の効力が及ばない。 最初の販売の時点で商標権としての効力が発揮されているためである。 これを商標権の消尽という。 なお消尽の原則は知的財産権全般に認められているなので、商標権に限られるものではない。 よくある商標の誤表示 実務上大きな問題となるケースは稀ではあると思うが、「商標権侵害」とならない使い方であっても、正式な登録商標と異なる表示をするのはなるべく避けたほうが良いかと思う。 とはいえ、商標権者である企業の広告ですら、誤った表示となっていることもあるのだが…。 よくある誤表記としては、例えば以下のようなものが挙げられる。 ハイフン抜け(例:誤=WiFi 正=Wi-Fi) 小文字化(例:誤=iphone 正=iPhone) 大文字化(例:誤=YOUTUBE 正=YouTube)

開発委託基本契約で準委任用と請負用を分けるべきか

今後、定期的に開発の委託を発注するとのことで、開発委託基本契約のためのドラフトを作成することとなった。 委託の形態としては、準委任型のパターンもあれば、請負型のパターンもあるとのこと。 その際、基本契約を準委任用と請負用とに分けるべきか、それとも1つの契約書にまとめてしまうか、どちらにしようか考えたため、備忘録として残しておきたい。 準委任と請負との間で留意すべき相違点 基本契約書を別々にするか1つにまとめるかによらず、準委任と請負とでは適用される条項が異なる点はケアする必要がある。 例えば、以下の条項は請負の場合のみに適用されるべきかと思われる。 成果物の納品・検収 契約不適合 製造物責任 もし1つの契約にまとめるなら、これらの条項の最後に「準委任として発注された場合には適用しない」といった文言を入れておくのが良い。 また発注書のテンプレートも異なってくるかと思うので、契約書に添付するテンプレートは準委任用と請負用とでそれぞれ用意することが必要かと思う(発注書で準委任か請負かを特定する形)。 基本契約書を別々にするか、一本化するか 基本契約書を別々に作成すると、法的リスクは緩和できる一方、契約コストは高くなる傾向がある。 一方、契約を一本化すると、その逆の関係になる。 両者のメリットとデメリットをまとめると、大体以下の表のような感じかと思う。 項目 別々に作成 一本化 準委任と請負の法的性質明確化 〇 ✕ 各契約の責任範囲や義務の明確化 〇 ✕ 契約書作成コスト ✕ 〇 契約書管理・更新コスト ✕ 〇 発注時の準委任/請負明確化 〇 △* *発注書フォーマットで準委任か請負かを明記するようにしておけば、リスク低減可能 また、紙の契約であれば別々に契約書を作成すると印紙代が余分にかかることとなる。 しかし、電子契約であればそういったデメリットは発生しない。 ただし、電子契約の海外における有効性は国によって異なるので、海外企業との取引で電子契約を利用する際には、取引先の国の法律を事前に確認する必要がある点は注意が必要である。 このように一長一短あるが、基本契約書を一本化したときも即座に法的リスクが高まるわけではなく、条項や発注書フォーマットで不明確な記載とならないようきちんと手当てがなされていれば、個人的にはそれほど問題ではないかなと思う。 結論としては、コストを抑えたければ一本化、より法的に万全を期すのなら別々の作成となるだろうが、そんなに両者で実務上の差は無いというのが正直なところである。 仮に一本化しようとする際は、契約の相手方から「準委任と請負とで契約は分けておきたい」と要求されることもあるだろうが(特にこちら側がドラフトする場合)、そこは相手方に合わせてあげても良い。 もっと交渉すべき条件があろう中で、上記の形式的な契約書構成に関しては譲歩しても問題ない部分かと思われる。

July 3, 2025 · 1 min

AIで声をパクられたら訴えることは可能?

近年、生成AIの登場により、声優や有名人と類似する合成音声を誰でも生成できてしまうことが物議を醸している。 勝手に有名キャラや有名人の声で別作品を作ったり、詐欺紛いの広告を打ったりと、声をパクられた人達からしたら溜まったものではない。 声優達からも保護を求める声が挙がっているところ、自然人の「声」そのものは、法的に保護され得るのだろうか? 残念ながら、日本では「No」である。 日本での取り扱い 既に結論を言ってしまっているが、まずは著作権の観点から考えてみたい。 声そのものは著作物ではない 著作権法第2条では、著作物は以下のように定義されている。 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。 歌手が歌う曲や、声優によるセリフの表現であれば、声を使って思想又は感情を創作的に表現したものとして、著作権が発生する。 実際、著作権法第10条でも、以下の著作物が例示されている。 一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 二 音楽の著作物 しかし、あくまで「声」を使った創作表現が保護されるのであって、声そのものは著作権法の保護対象外である。 AI学習自体は著作権侵害にならないケースが多い しかし、セリフの表現等が著作物として認められるなら、それらをAI学習に用いる行為は問題にならないだろうか? その点、著作権法第30条の4に以下のように記載されている。 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。 つまり、学習対象である特定の著作物(曲、セリフ等)自体を生成するAIモデルではなく、学習対象の「声」そのものを生成するAIモデルのための学習であれば、学習対象となっている特定の著作物を享受する目的があるとは言えず、著作権侵害とは認定されない。 「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は著作権法第30条の4は適用されないとあるが、AI音声の場合、どんなケースであれば声を模倣された人達の利益を不当に害するといえるのかは、いまいちよく分からないし、現時点では参考になりそうな判例も見当たらない。 その他の法律でも保護されていない 日本は肖像権やパブリシティ権も存在するが、残念ながら声にこれらの権利を認めた判例等声は法的に保護されていないという見方が自然ではないかと思う。 しかし他の国では、声を保護する法律は無いのだろうか? 中国での取り扱い 実は中国では、2021年より「声の肖像権」が認められている。 声の肖像権とその保護 2021年1月1日から施行されている民法典で「声の肖像権」が保護されており、以下のように規定されている。 自然人は肖像権を享有し、自己の肖像について他人に使用を許諾する権利等を持つ 「声の識別可能性」を要件として、声の肖像権を保護 声の肖像権を侵害された場合、権利者は、侵害差止め、謝罪等を請求可(訴訟時効の規定の適用なし) ここで「声の識別可能性」とは、他人が複数回又は長期的に繰り返し聞いたとき、その音声の特徴により特定の自然人を識別できることを意味する。 そしてAIによる合成音声が、その音色、イントネーション、発音方法によって特定の自然人を連想させる場合には、識別可能性を有すると認定される。 実際、2024年にあった侵害訴訟はAIが生成した合成音声に関する訴訟であり、ソフトウェア企業に謝罪や損害賠償を命じる判決が出ている。 判決では、「AI音声と原告の声色や語調はほぼ一致しており、本人と識別できる」と認定しており、人物特定ができる前提で「声の肖像権」はAI音声にまで及ぶとの判断を示している。 肖像権の使用許諾 また中国民法典では、声の肖像権について本人の許諾を得ることを規定している。 特徴的な点の1つが、著作物の権利者であっても、肖像権者の同意を得ることなく、肖像権者の肖像を使用等することができないところである。 つまり、音声の著作権のライセンスを受けたとしても,声の肖像権者の同意も取得しなければ、声の肖像権の侵害となってしまう。 もう1つ面白い特徴として、当事者間の肖像権使用許諾契約の許諾期間に関して、以下のように肖像権者に有利に解釈される点が挙げられる。 許諾期間について約定がない場合は、肖像権者は、合理的期間を定めて事前に相手方に通知をした上で、許諾契約をいつでも解除可能 許諾期間について約定がある場合も、肖像権者は、正当な理由があるときは、合理的期間を定めて事前に相手に通知をした上で、許諾契約を解除可能 日本では、いわゆる買取り契約(1回支払えば、無期限に利用可能)が一般的だが、中国では所定期間経過後に再度許諾料を支払わないといけない可能性があることとなる。 考察 日本では未だ声の法的保護に関する制度や判例に乏しいが、中国における声の権利保護の取り組みは、(そのまま採用するかは置いておいて)日本の議論においても参考となるかと思う。 少なくとも日本では、声そのものを著作物と認定するよう変えようとすると、著作権の成り立ちそのものを見直す必要があり、かなりハードルは高い印象である。 よって、保護するのなら肖像権でカバーしようとする方向性は悪くないと思う。 しかし、日本では肖像権の明文規定は存在せず、肖像権はプライバシー権の一種とされている。 声単体だと、プライバシー権という考え方と親和性はあるだろうか? また、たまたま作った声が有名人の声と似てしまう場合(著作権でいう依拠性がない場合)もあるだろうし、色々な状況に対応するための日本の法整備には時間がかかりそうである。

契約書における記載ミスの話

契約ドラフトを相手方に提示するとき、一部表記ゆれがある点を指摘され、修正を求められることがある。 同じ意味に見えても、表記が異なることで、別の意味があるのではないか?と思わせてしまうのは宜しくないので、指摘はもっともだと思う。 そのミスも契約内容に影響するものもあれば、それほど問題にならないものもある。 しかし、相手方へ与える心象も踏まえると、できるだけ軽微なミスも事前に潰しておきたい。 一部反省の意味も込めて、これまで見かけた(やらかした)記載ミスを挙げておきたい。 今ならwordのチェックツールだけでなくAIレビューも可能だが、レビュー対象の契約書がAI学習に用いられてしまう場合もある。 よってAIサービスを使う際は、社内のセキュリティポリシー上問題ないか確認することが必要だろう。 ただ、契約書担当として本音を言うと、交渉が求められる類の修正(知財権の帰属に関する)ではなく、訂正すれば済む話なことが多いので、少し安心したりもする。 契約内容への影響が軽微なミス 平仮名と漢字の混在 「または」と「又は」 「および」と「及び」 「もしくは」と「若しくは」 「ならびに」と「並びに」 「ただし」と「但し」 「ただちに」と「直ちに」 用語のゆれ 「文書」と「書面」 「使用料」と「利用料金」 「通知」と「連絡」 「効力発生日」と「契約開始日」 数字・単位のゆれ 「5日以内」と「五日以内」 「一〇〇万円」と「100万円」 「10%」と「10パーセント」 定義済みの語を別の表現で記載 「本業務」を途中で「本件業務」と呼んだり「本委託業務」と記載 「●●株式会社(以下、丙という。)」と定義後も「●●株式会社」と記載 契約内容に影響しかねないミス 用語の未定義・不統一 「秘密情報」の定義なしに使い始める いきなり「丙」が登場する(甲乙以外の当事者が出てくる場合にありがち) 条文番号のずれ 「第3条」の次が「第5条」になっている 「第10条」か正しいのに、「本契約終了後も、第9条の規定は、引き続きその効力を有するものとする。」と書かれている 指し示しのミス 「前項」と書くべきところを「前号」 「本条」とすべきところを「本項」 文法上の曖昧さ 修飾関係が不明確(例:「甲または乙の責に帰すべき事由により…」が、どちらにかかるのか不明) 並列の不整合(例:「〜し、または〜および〜する」) 範囲の不整合 「●●に限り」と書いているのに、例外規定が別に存在する 「書面による」としながら、別条ではメール可とされている

June 23, 2025 · 1 min

漫画のキャラクター名を製品名にして良い?

会社で、ある新製品のラインナップを区別するニックネームとして、それぞれにある漫画のキャラクター名が付けられていた。 「社内利用に留めておけば、問題無いですかね?」とのこと。 キャラクターのデザイン自体を模倣していれば、ちゃんと許諾を得ていないと著作権違反となってしまうが、名前だけ使わせてもらうのは問題になるだろうか? 著作権の観点 キャラクター名自体に著作権が付与されることはない。 著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されている。 キャラクターと言われるものは、それ自体が思想または感情を創作的に表現したものということができず、著作物に該当しないためである。 この点は、最高裁の判決(ポパイ事件:最高裁、平成4年(オ)第1443号、平成9年7月17日)でも、以下のように判断が示されている。 著作権法上の著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(同法二条一項一号)とされており、一定の名称、容貌、役割等の特徴を有する登場人物が 反復して描かれている一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである。・・・ では製品名として使っていいか?というと、まだ以下の法的リスクがある。 商標権の観点 キャラクター名がすでに他者によって商標登録されている場合、その名称を商品名として使用すると、商標権の侵害となるおそれがある。 商標権は、登録商標と指定商品・役務のセットで登録されている。 したがって、使用する対象製品が指定商品・役務と同一または類似する際は侵害となる点には留意すべきである。 では、キャラクター名が商標登録されていなければ問題ないかというと、まだ懸念が残っている。 不正競争防止法の観点 不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争を守り、他人の信用・努力・成果を不当に利用する行為(=不正競争)を防ぐための法律となっている。 商標法とは異なり、登録を前提としない保護制度(著作権と同一)である点が大きな特徴となっている。 製品にキャラクター名を使う場合は、例えば以下のような禁止行為に該当する可能性がある。 周知表示混同惹起行為(不正競争防止法第2条第1項1号) 他人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているものと同一・類似の商品等表示を使用し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為 著名表示冒用行為(同第2条第1項2号) 自己の商品等表示として、他人の著名な商品等表示と同一・類似の表示を使用し、またはそのような表示が使用された商品を譲渡引渡等する行為 ※混同の要件は不要 商品形態模倣行為(同第2条第1項3号) 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡したり、貸し渡したりする行為 結論 というわけで、製品にキャラクター名を付す行為は、著作権法上では問題ないものの、商標法、不正競争防止法の観点からは法的リスクが残ることとなる。 名前が消費者に表示される予定の場合は勿論のこと、仮に社内での呼び名に留まる場合でも、対外的な資料にその名前が紛れ込むリスクも存在する。 特別な理由がない限りは、キャラクター名の使用は避け、別名に変更することが望ましいだろう。

開発を再委託する際の契約上の知財の取り扱い(汎用技術など)

この間、委託元から受託した開発を再委託することとなり、開発したものは納品物として委託元へ納めることとなった。 そして、開発行為によって生じた知財権も委託元のものとする予定である。 このとき、再委託先から 「他の開発活動にも利用できそうな汎用的な技術については、うちに知財権を帰属させてもらえませんか?」 との要望があった。 納品物の知財権は委託元なのは良いとしても、汎用技術は他の受託案件などにも転用できるように構えておきたい、というのはごもっともである。 委託元を甲、委託先を乙、再委託先を丙とすると、契約書は 甲乙間の開発委託契約 乙丙間の開発委託契約(再委託) の2本立てとなる。 このとき、互いの契約書上の知財条項は、どのように書いておけば 開発に関する知財権→甲の帰属 汎用技術の知財権→乙帰属 とできるのか? 結論 結論としては、 甲乙間の開発委託契約 開発に関する知財権→甲の帰属 汎用技術の知財権→乙の帰属 乙丙間の開発委託契約(再委託) 開発に関する知財権→乙の帰属 汎用技術の知財権→丙の帰属 でとしておけば問題無さそうである。 また乙丙間の契約では、甲に確実に知財権を帰属させられるよう、丙に対しては、乙または乙の指定する第三者(すなわち甲)に権利を帰属させるために必要となる手続きを履行するよう義務付ける条項も設けた。 甲乙間の契約でも、甲が特許出願などするときに必要あれば乙が協力する旨の条項を設けることとしている。 考察 権利の帰属先をダイレクトに規定しようと 乙丙間の契約書で、開発に関する知財権→甲の帰属 甲乙間の契約書で、汎用技術の知財権→丙の帰属 と記載することも考えたのだが、すると1点問題が出てくる。 甲にとっては、丙って誰?丙にとっては、甲って誰?という情報が無いと、お互い「知財権の帰属先は、それでOKです」とはなかなか言えないかと思う。 これを解消するには、甲乙間の契約で丙の名前を、また乙丙間の契約で甲の名前を出す必要が生じる。 前者に関しては、再委託を甲に承認してもらうために丙の名前を出すという建付けであれば、それほど問題は無いかもしれない。 しかし、乙丙間の契約で、本来は特段言及する必要の無かった具体的な甲の名前を出すことに違和感があった。 実務上、甲と丙は互いの存在を認識することは多いだろうが、乙丙間の開発委託契約において、わざわざ丙に対して「甲が委託元です」と積極的に開示していいものか? もし開示するなら、甲に前もって承諾してもらう必要が生じるのでは? という余計な点まで考える必要が生じたため、上の結論のようなスキームで契約書を作成している。 留意点 契約締結時には、どこまでが汎用技術なのかを甲乙間および乙丙間で認識合わせをして置く必要がある。 実際に開発してみないと明らかにならない部分もあると思うが、とはいえあらかじめ「ネジ、ギア、ベアリングのような汎用部品に関する技術は汎用技術ってことで」と共通認識を持つことは大事である。 契約書には 汎用技術を定義する条項を設けるとともに、お互いに認識合わせしたような汎用技術の一例(これには限らないとしておく)を記載する 丙から、具体的に特定した汎用技術を乙に通知させる(乙から甲にも通知する)旨の条項を入れておく といった手当てをしておくことが望ましい。