米国で特許出願行うにあたっては、IDS(Information Disclosure Statement)の提出が求められる。

実務の上ではこの辺りは事務担当や代理人にお任せしてしまっている現象であるが、特許の活用においては大事な話なので、触れておきたい。

IDSとは?

特許性について重要であることが知られている情報を、USPTOに対して開示しなければならない義務が定められている。

つまり、主に新規性、非自明性といった観点で特許性を否定する方向に働く情報はしっかり提出しなさい、というものである。

情報例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。

  • 各国特許庁での拒絶理由通知及び引例(国際調査報告・見解書やその引用文献も含む)
  • 第三者より告知を受けた情報(例: 日本の審査段階における情報提供)

その他、直接的に特許性を否定するものではないが、その中の記載が特許性の判断に重要となる可能性もあるため、以下の文献を挙げておいた方が無難とされている。

  • 明細書に「先行技術文献」として記載される文献
  • 各国の特許庁の調査結果が「A分類」とされる文献

提出期間

対象となる情報を知ってから3か月以内に提出するようにする。ファミリで多くの国に出願していると、この辺りの手続きが煩雑になる。

また特許証発行までこの義務が発生するため、特許査定後であってま情報を知ったらIDSを提出する必要がある。

IDS提出義務に違反すると?

連邦規則法典第37巻(Code of Federal Regulations,:37CFR)にて定められている。

37CFRの第1.56規則によると、IDS義務違反が行われた場合、何と特許が認められなくなってしまうことが規定されている。中々厳しい。

一昔前ならいざ知らず、今はグローバルドシエもあるのだから主要特許庁に関する審査情報は提出義務から外してほしいものである。

しかも、提出の時期によっては提出料の支払いまで要求される。

先行文献の抜け漏れは生じづらいのだろうが、将来的にはもっと出願人の負担が減る運用となることを願うばかりである。

関連記事