近年は、ChatGPTをはじめとするサービスを使うことで、誰でも手軽にAI画像を生成することができる。

そのクオリティには目を見張るものがあり、改めてすごい時代になったものだと思う。

ところで、完成した画像には著作権は発生するのだろうか?

また、仮に発生した場合は誰の権利となるのだろうか?

AI開発者?それとも利用者?

AI画像に著作権は発生するか

AIが自律的に生成したものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられる。

例えば、人が特に指示を与えなかったり、与えたとしても簡単な指示を与えるにとどまり、「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したものは、著作物とはなり得ない。

一方、人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したもの(創作的寄与)と認められれば、著作物に該当し、その場合はAI利用者が著作者となると考えられる。

では、具体的にAI利用者が何をすれば創作的寄与が認められるのだろうか?

この点については、AI技術の進展は目まぐるしく、また具体的な事例も多くないという事情もあって、文化庁による令和5年度のセミナー時点では目下検討中であった。

しかし、「令和6年度 著作権セミナー AIと著作権Ⅱ」にて、「創作的寄与」の有無を判断する上で考慮される要素について、考え方が整理された旨が報告されている。

まず判断に関してだが、

AI生成物の著作物性は、個々のAI生成物について、個別具体的な事情に応じて判断されます。具体的には、AI利用者の行為のうち、単なる労力にとどまらない「創作的寄与」となり得るものがどの程度積み重なっているか等を総合的に考慮して判断されることになります。

とのことである。

さらに、いくつか具体的な判断要素も開示されており、内容は以下の通りである。

1.指示・入力の分量

  • 影響しない:単に長大なだけで、創作的表現に至らないアイデアを示すにとどまる指示
  • プラスに働く:創作的表現といえるものを具体的に示す詳細な指示

2.生成の試行回数

  • 影響しない:単に試行回数が多いこと
  • プラスに働く:生成物を確認し指示・入力を修正しつつ試行を繰り返すこと

3.複数の生成物からの選択

  • 影響しない:単なる選択行為自体
  • 考慮が必要:通常創作性があると考えられる行為であっても、その要素として選択行為があるものもあることから、こうした行為との関係

また、人間が、AI生成物に「創作的表現といえるような加筆・修正」を加えた場合は、通常、その加筆・修正が加えられた部分については、著作物性が認められる。

このような状況を鑑みると、例えば

  • プロンプトに、独自の思想感情を表現するための指示を含ませる
  • プロンプトに、自分の表現を入れた画像を入れる
  • 出力に対してプロンプトを追加し、修正を行う

といった行為があれば、創作的寄与が認められる可能性も高まるのではないだろうか。

著作権は誰の権利となるか

すでに上で触れてしまっているが、結論から言うとAI利用者が著作者となると考えられる。

なお参考までにOpennAIの利用規約(最終更新:2024/12/11)を見ると、以下のように記載されている。

コンテンツ情報

お客様のコンテンツ情報 お客様は、本サービスに情報を入力(以下「インプット」といいます)し、かかるインプットに基づいて本サービスから出力された結果(以下「アウトプット」といいます)を受け取ることができます。インプット及びアウトプットは総称して「本コンテンツ」といいます。お客様は、本コンテンツが適用法令又は本利用規約に違反していないことを確認することを含め、本コンテンツに対して責任を負います。お客様は、当社の本サービスに提供するインプットに必要なすべての権利、ライセンス、及び許諾を得ていることを表明し、保証します。

本コンテンツの所有権限 お客様とOpenAIの間において、適用法令で認められる範囲で、お客様は、(a)インプットの所有権限は保持し、(b)アウトプットについての権利を有するものとします。当社はアウトプットに関する権利、権原、及び利益がある場合、これらすべての権限をお客様に譲渡します。

本コンテンツの類似性 当社の本サービス及び一般的な人工知能の性質上、アウトプットは特有のものではない場合があり、他のユーザーが当社の本サービスから同様のアウトプットを受け取る場合があります。上記の当社による権限譲渡は、他のユーザーのアウトプット又は第三者アウトプットには適用されません。

これを見ると、 

「アウトプット情報の権利はユーザーのものとして権限譲渡するけれども、他のユーザーが同じアウトプットを出していたら権限譲渡はしない」

とのことである。

早い話、早くアウトプットを出したもの勝ちということになろうかと思う。

なお、本記事では著作権の発生について記載しているが、他者の著作権侵害については以下の記事で触れているので、興味があれば目を通してみてほしい。

作風を似せると著作権侵害?

2025年4月16日の衆院内閣委員会(※)で、著作権における、生成AI画像について答弁があった。 内容が興味深かったので、そのやり取りを紹介...

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