契約ドラフトを相手方に提示するとき、一部表記ゆれがある点を指摘され、修正を求められることがある。
同じ意味に見えても、表記が異なることで、別の意味があるのではないか?と思わせてしまうのは宜しくないので、指摘はもっともだと思う。
そのミスも契約内容に影響するものもあれば、それほど問題にならないものもある。
しかし、相手方へ与える心象も踏まえると、できるだけ軽微なミスも事前に潰しておきたい。
一部反省の意味も込めて、これまで見かけた(やらかした)記載ミスを挙げておきたい。
今ならwordのチェックツールだけでなくAIレビューも可能だが、レビュー対象の契約書がAI学習に用いられてしまう場合もある。
よってAIサービスを使う際は、社内のセキュリティポリシー上問題ないか確認することが必要だろう。
ただ、契約書担当として本音を言うと、交渉が求められる類の修正(知財権の帰属に関する)ではなく、訂正すれば済む話なことが多いので、少し安心したりもする。
契約内容への影響が軽微なミス
- 平仮名と漢字の混在
- 「または」と「又は」
- 「および」と「及び」
- 「もしくは」と「若しくは」
- 「ならびに」と「並びに」
- 「ただし」と「但し」
- 「ただちに」と「直ちに」
- 用語のゆれ
- 「文書」と「書面」
- 「使用料」と「利用料金」
- 「通知」と「連絡」
- 「効力発生日」と「契約開始日」
- 数字・単位のゆれ
- 「5日以内」と「五日以内」
- 「一〇〇万円」と「100万円」
- 「10%」と「10パーセント」
- 定義済みの語を別の表現で記載
- 「本業務」を途中で「本件業務」と呼んだり「本委託業務」と記載
- 「●●株式会社(以下、丙という。)」と定義後も「●●株式会社」と記載
契約内容に影響しかねないミス
- 用語の未定義・不統一
- 「秘密情報」の定義なしに使い始める
- いきなり「丙」が登場する(甲乙以外の当事者が出てくる場合にありがち)
- 条文番号のずれ
- 「第3条」の次が「第5条」になっている
- 「第10条」か正しいのに、「本契約終了後も、第9条の規定は、引き続きその効力を有するものとする。」と書かれている
- 指し示しのミス
- 「前項」と書くべきところを「前号」
- 「本条」とすべきところを「本項」
- 文法上の曖昧さ
- 修飾関係が不明確(例:「甲または乙の責に帰すべき事由により…」が、どちらにかかるのか不明)
- 並列の不整合(例:「〜し、または〜および〜する」)
- 範囲の不整合
- 「●●に限り」と書いているのに、例外規定が別に存在する
- 「書面による」としながら、別条ではメール可とされている