取引先に配布する資料については、「Confidential」とか、「関係者外秘」とか、各社のセキュリティポリシーに沿ってラベルをヘッダー等に表示しているかと思う。
ここで、「対外イベントで発表する際に数分だけ表示するだけだし、特にどこかに掲載されたり配布する資料でないなら、別に表示しなくてもいいのでは?(見た目も悪くなるし…)」と思う方もいるかもしれない。
しかし、資料の内容に機密性の高い情報が含まれるのであれば、一時的に表示するだけの資料であっても「Confidential」等の表示を付けておくべきである。
理由は、以下の通りとなる。
秘密情報としての法的保護が不十分になる
たとえ一時的な開示であっても、第三者からしたらその内容をしっかり覚えていることも多いはず。
プレゼン資料に「Confidential」等の表示がないと、後出しで秘密情報だと主張するのは厳しいだろう。
「えっ、あのプロジェクトの内容って外で話したらまずかったの?そんな表示なかったから、公開情報だと思いましたわ〜」
と言われてしまうのが関の山である。
また、その情報が特許出願前の技術情報であった場合は「新規性の喪失」となり、特許庁での審査に不利となる可能性も否定できない。
一応、他社と締結する秘密保持契約書には、口頭で開示した内容を◯◯日以内に「この情報、秘密だからヨロ」と文書通知すれば秘密情報として扱わせる旨の規定を設けることはあるが、それだけでは心許ない。
撮影行為により第三者に流出する可能性も
発表中にスライドを数分間表示しただけでも、聴講者がスマホでこっそり写真撮影をする可能性もある。
特に今ではオンラインでの会議が多いため、自宅での撮影や画面のキャプチャをする参加者がいないとも限らない。
このとき「Confidential」表示がなければ、「公開してはいけないものだった」と気づかれないまま、意図せず流出してしまうかもしれない。
表示方法
「Confidential」等を資料に表示する箇所はいくつか考えられる。
例えば、最初のスライドや最後のスライドにだけ表示することもあるかもしれない。
しかし、この部分的な表示はお勧めしない。
スライド単体で切り出された場合(スクショやPDFで一部だけ共有された場合)、機密扱いであることが明示されないし、プレゼンの途中から参加されたり、離脱されることで表示を読まれないことがあるからである。
よって、一貫した注意喚起を図るという意味でも、全スライドに表示するのがベストである。
表示により資料のデザインへの影響はするかもしれないが、右下に目立ち過ぎないよう「Confidential」等と表示すれば、それほど大きな問題ではないだろう(ある程度視認できるようにする必要はある)。
それよりも、情報漏洩リスクの軽減の方が重要となる。