例えば業務として社内資料や外部向け資料を作るときに、他社がWeb上で公開している製品取扱説明書や動画を紹介したくなることがある。

ところが、ここには意外と著作権の落とし穴がある。

説明書等をダウンロードして載せるのは危険

企業が作成した取扱説明書やマニュアルには、文字の表現や図、レイアウトなどに著作権がある。

そのため、ダウンロードした説明書をそのまま添付したり、全文を転載するのは著作権侵害になる可能性が高い。

具体的には、主に「複製権」(著作権法第21条)または「翻案権」(同法第27条)の侵害が問題になり得る。

仮にその一部を引用する場合でも、「引用部分が従、記事本文が主」であることや「出典を明記すること」など、法律上の引用要件を満たす必要がある。

引用の要件に関する詳細は以下の記事で触れているが、結構判断が難しいので、安易に「これは引用だからOK」とするのは避けた方が良い。

著作物の「引用」について考えてみる

著作権法上、他人の著作物をそのまま使うと原則として著作権侵害になるが、「引用」としての使用であれば、著作権者の侵害とはならない。 引用と認...

なお著作権に関しては、たとえ社内に留まる資料であっても、私的利用には該当しない。

このため、社内資料であっても、著作権侵害とならないようようケアしておく必要がある。

公式ページへのリンクなら安全

説明書を載せたいときは、公式サイトにあるページへのリンクを貼るのが一番安全である。

リンクそのものは著作権侵害にはならないためである。

ただし注意点として、非公式な違法アップロード先(海賊版サイトなど)のリンクを貼るのはNGである。

著作権侵害の手助けをしたと見なされる可能性がある。

YouTube動画のリンクや埋め込み

YouTubeの公式チャンネルが出している動画をブログに埋め込む行為は、基本的に問題ない。

YouTube自体が「埋め込み機能」を提供しており、正規の利用方法だからである。

一方、誰かが無断でアップロードした動画と知りながら紹介した場合は、やはりリスクがある。

なので、公式チャンネルの動画を選ぶのが鉄則となる。

それでもダウンロードしたものを掲載したい

何かの事情でダウンロードした資料を使いたいのであれば、まずはダウンロード可能な公式サイトから利用規約を確認することをお勧めする。

場合によっては、掲載を可とするケースもあり得るからである。

ただし、利用規約で定められた条件(クレジット表記、利用目的、改変の可否など)を違反すると、著作権侵害になるため、規約を必ず熟読し、その範囲内で利用する必要がある。

また製作者には著作者人格権も存在するため、無用な改変は避けるべきかと思う。

「利用規約でも使用はダメと書いてあるけれども、どうしても使いたい」ということであれば、著作物を持っている他社に問い合わせ、許諾を得るしかない。

この場合は、もちろんライセンス料の支払いをはじめとする各種義務を要求される可能性が生じる。

まとめ

  • 説明書をDLして載せるのはNG
  • 公式サイトへのリンクなら安心
  • YouTube公式動画のリンク・埋め込みも安心
  • 非公式や違法アップロード先へのリンクは危険

記事や資料で紹介したいときは、公式サイト等から「リンクで誘導する」スタイルが著作権リスクを避ける最も安全な方法といえる。

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