普段お世話になっている製品名やサービス名の中には、他社の登録商標が含まれることがある。

ウェブサイトやアプリの説明文、仕様書、マニュアルなどで気付かず使ってしまうものがあるが、その代表的なものとして「QRコード」「Bluetooth」を取り上げたい。

これらを商用の場や公式ドキュメントで無造作に使うのは避けておきたい。

「QRコード」に関して

「QRコード」(文字商標)は株式会社デンソーウェーブの登録商標である。

商標権者の許可なしに商品名・サービス名として自由に使うと、商標権侵害になるおそれがある。

しかし、「QRコード」に関しては、次の要件を満たせばデンソーウェーブに許可を求める必要は無い。

「QRコード」を使いたい場合

デンソーウェーブは公式サイトで使用に関する案内を公開しているので、商標使用条件や注意点を守れば使用することができる。

2025年8月時点の情報にはなるが、登録商標文を掲載※(例:「QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。」)すれば、使用料の支払いやその他の手続きは不要である。
※QRコード(名称)を利用した画面・印刷物ごとに掲載すること

なお、自社の商品名やサービス名に「QRコード」を含めること(商用利用)は禁止されている。

使用の際は、今一度公式サイトを確認いただきたい。

こだわりがなければ「二次元コード」などへ

「QRコード」という名称にこだわりがなければ、別の呼び方に置き換えてしまうのが手っ取り早い。

例えば「二次元コード」とすれば、使用条件の確認も不要である。

またコード自体を掲載すること自体は、全く問題ない。

Bluetoothに関して

Bluetoothの代表的な商標として、「BLUETOOTH」(文字商標)と以下の図形商標が存在する。

これらの種類のBluetooth商標は民間団体であるBluetooth SIGが所有している。

Bluetooth商標を使用したい場合

Bluetooth SIGの公式サイトによれば、Bluetooth商標を使用するには以下の2つの要件を満たす必要がある。

  • Bluetooth SIGのメンバーであること(政府機関、大学、個人事業主のメンバー登録は受け付けていない)
    • Bluetooth SIG メンバー登録には、AdopterメンバーとAssociateメンバーの2種類がある
    • Adopterメンバーは入会費・年会費無料、Associateメンバーは有償だが、公開前のBluetooth仕様を閲覧したり、Receipt Numberの取得等をより安価に行えるなどの利点あり
  • 提供される商品が、同製品のマーケティングと販売を行う企業のメンバーアカウントのもとでBluetooth認証プロセスを完了していること

これらの要件を満たすためには、ざっくり以下の表に示すような費用が発生する。

項目 備考
Bluetooth SIGメンバー年会費 Adopterメンバーなら無料
認証テスト費用 製品に使用するデザイン(Bluetooth制御部分の設計)によっては不要
Receipt Number取得費用 Associateメンバーなら購入費が割安

このように、手間や費用を踏まえると、中々気軽に自社製品にBluetooth商標を使用することはできない。

まとめ

うっかり使いがちな登録商標は色々あるが、適切に使おうとすると、権利者となる企業ごとに利用を許諾する条件(手続き、費用など)は千差万別である。

よって、登録商標の有無に感度を持つことは勿論のこと、いざ使いたいとなったときの負担の程度も調査しておくことが望ましい。

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