社内資料として、Googleマップの地図画像をPDF、PowerPointなどの電子資料に貼り付けたくなることがあるかもしれない。

しかし、地図画像もGoogleの立派な著作物である(著作権法第10条1項6号)。

こう思うと資料への貼付けが躊躇われるが、あくまで電子資料が社内使用に留まるものであり、商用の広告として用いたり、多くに配布するものでなければ、帰属表示をはじめとする利用規約を守っておけば貼り付けは可能である。

遵守すべき利用規約

遵守すべき利用規約として「Google 利用規約」と​「Googleマップ追加利用規約」の2つがある。

Google 利用規約には、Googleアカウント利用時の年齢要件、サービスの不正利用の禁止等が規定されているが、この中で「サービス固有の追加規約」の遵守を求めており、Googleマップの場合は​「Googleマップ追加利用規約」がそれに当たる。

Googleマップ追加利用規約の概要

Googleマップ追加利用規約では、「適切な権利帰属を伴うコンテンツを、オンライン、動画形式、印刷形式で公開表示する」ことを許可している。

言い換えると、適切な権利帰属のないコンテンツの使用は認められないということである。

「適切な権利帰属」とは、要するに「ちゃんと帰属表示をしてね」ということで、その具体的な内容は「Googleマップ、Google Earth、ストリートビューの使用にあたっての許可に関するページ」に記載されている。

その中身は、以下の通りである。

帰属表示の内容

Googleマップでは、コンテンツの下部に、例えば「Map data ©2019 Google」などの著作権表示とともに帰属表示が記載される(正確な帰属表示のテキストは、地域やコンテンツの種類によって異なる)

この帰属表示は、web embeds,、API、Google Earth Pro、Earth StudioといったGoogleのツールで地図画像を出力すると自動で表示されるようになっている。

これを、以下のルールに従って表示することが求められる。

遵守事項
  • 帰属表示は地図画像の近くに表示すること
  • スクリーンショットを使用する場合は、画像中の標準的な帰属表示をそのまま記載すること
  • データや画像の一部がGoogle以外のプロバイダから提供されていれば、帰属表示のテキストに「Google」+「データプロバイダ(複数可)」を明記すること(例:「地図データ:Google、Maxar Technologies」)
禁止行為
  • 帰属表示を地図画像から離れた場所(書籍の末尾、映画や番組のクレジット、ウェブサイトのフッターなど)に表示する行為
  • 帰属表示を削除したり、隠したり、切り取る行為
  • Googleロゴをインラインで使用する行為(例: 「これらの地図は [Google ロゴ] から提供されています」という表示を入れる行為)
  • Google以外のプロバイダのデータが含まれているのに、「Google」またはGoogleロゴのみを記載する行為
認められる行為
  • 必要に応じて、帰属表示テキストのスタイルや配置をカスタマイズ可能(ただし、閲覧者が判読できるよう、テキストはコンテンツの近くに表示する必要あり)

その他、禁止行為

帰属表示の他にも、Googleマップ追加利用規約では以下の行為を禁止している。

  • Googleマップを再配布・販売したり、そこから新しいサービスを作る行為
  • 地図や画像などのコンテンツを勝手にコピーする行為(例外あり)
  • 大量にダウンロードしたり、自動でデータを取る仕組みを作る行為
  • Googleマップの情報を使って、別の地図サービスやデータベースを作る行為
  • リアルタイムのナビや自動運転用に、他社のサービスと組み合わせて使う行為

用途によっては、更なる決まり事も

地図画像をどう使うか(印刷するのか、動画に使うのか、等)によって、次のように更なる遵守事項が課される。

  • 地図画像を印刷する場合は、非営利目的または個人的な使用に限る
  • 埋め込みコードでウェブサイトにGoogleマップを埋め込むだけならOK(Googleマップへのリンクを貼ることも可能)
  • 映画やテレビ番組でGoogleマップを使用する場合(例:俳優がスマートフォンでGoogleマップを使用)は、事前承認が必要
  • オンライン動画広告やプロモーション目的(例:不動産会社が賃貸物件の空き状況を表示するなど)で使用する場合は、事前承認が必要

PDFやPowerPointといった電子資料に貼り付けるだけであれば、基本的には帰属表示を守っておけば良い。

まとめ

最もシンプルにGoogleマップの地図画像を社内の電子資料に使いたければ、Googleのツールで帰属表示付きの画像を出力し、何も加工せずに貼り付けるのが手っ取り早い。

しかし、商用利用含めてもっと制約なく使いたければ、OpenStreetMap(クレジット表記は必要)等の別のコンテンツを使うのが良い。

OpenStreetMapの詳細については、また別の記事で紹介したい。

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